ベルリン・クラッシュ

たまたまツタヤで見つけて、ベルリンの壁崩壊直前に東ベルリンでカーチェイスなんていう設定に惹かれてちょっと借りてみました、この映画。いや、最近妙に壁があった頃のベルリンが気になって仕方がないんだわ。そういう訳で早速観てみたら、いきなり交差点につったている交通整理のおじさんに車がつっこむ描写が!しかもおじさんボンネットに刺さっても微動だにしないし。さすが東ドイツ人だ!って感じでどうみてもバカ映画って事が開始一分ほどで分かりました。いや、まあ、タイトルとパッケージとあらすじ見たときからたぶんバカ映画なんじゃないかなあという期待の元に借りてたんで、むしろバカ映画じゃないとちょっと困ったんだけどね。


あらすじはというと、東ベルリンに住む彼氏と交際している主人公が父親に東ドイツ人であることを理由に交際を反対されて、彼氏の住む所まで行こうと家出して車をかっぱらって東ベルリンを目指していたら、父親が主人公を捕まえたら100万マルクを出すと言ったところ借金ありの移動ハンバーガーやらヒッピー風の若者やらちょっと頭の緩んだ救急救命士(?)やらが主人公を追いかけるという話。途中東西の国境付近で、苦労して自由な西に行くために地中にトンネルを掘っていた東ドイツの若者と出会って主人公は彼と行動をともにすることになるんだけど、その彼フォルカー君はせっかく西に脱出できそうだったのに主人公の所為で東ドイツに舞い戻るはめになってしまってかなり可哀想です。しかも主人公そのフォルカー君の脱出に賭けた必死の思いをこれっぽっちも理解せず自分の恋人の事だけ考えて恋人のいる東ドイツは西よりもずっといいなんてこと思っているし。おまけに東ドイツに入ったことで人民警察やら軍やらいろいろ出てきて主人公を追うカーチェイスはえらいことになってくるし。


という感じな話なんだけど、主人公の行動がかなり無茶なもんで被害は甚大で車はぼっこぼこにクラッシュしたり炎上するし、手違いでロケットランチャーはとんでくるしもうやりたい放題って感じで全編ツッコミどころ満載でかなり楽しい映画でした。とにかく音楽が軽快でカーチェイスものなんで展開もスピーディーだし主人公の性格以外はかなり気持ち良く観られて良かった。苦労して東ベルリンまで着たのに実は彼氏が……ってのはベタだけどちょっと主人公に同情しないでもなかったけど(笑)。


ベルリンの壁崩壊直前を舞台にしてるって事は当然ラストは壁崩壊で締める訳だけど壁崩壊の裏であんな出来事があったとは吃驚だ。まあ、現実も割と勢いで壊れた所があったみたいだからそれを踏まえた上でって事なんだろうけど。個人的に印象的だったのは、ずっと西へ行きたかったが、紆余曲折あってここが西だと勘違いして東ドイツと変わらないと西ドイツに絶望して家に帰りたいと思っていた人が、ラストでそうとは知らず西ベルリンに行きそこの屋台の品数に圧倒されていたシーン。なんかいろいろと感慨深いです。この映画、バカ映画を装っているけど実は根は真面目に東西ドイツってものを描こうとしていたのかなあ、とも思ったけどスタッフロール直前に出てくるのがアレって辺りやっぱりバカ映画だ、これ。


車の車種とかに疎いので出てくる車の名前とか全然分からなかったけどそういう事を全く気にせず笑えて楽しめる個人的な良作で借りて良かったなあと思いました。なんか、ゲームでやりたいなこの映画。