著作権保護期間延長がどうたら

文化庁文化審議会著作権分科会で話し合っているらしいですが著作権の保護期間を作者の死後50年から70年に変えようとかなんだかなあと思う。作者の死後50年ですら個人的には長いと思っているのにそれを70年とかさあ、作者の死後七十年っていったら80歳で死んだ作者が30歳の時に作った著作物だと、保護が切れるのが著作物が出来てから120年だぜ、120年!著作者本人の権利は絶対に保護すべきだし、著作物ってのは(特に商売として成立しているレベルのものなら)著作者本人だけの力で生み出されたものばかりではなく、編集者なり出版社の力や家族の支えなんてのも大きいだろうから、ある程度著作者本人を取り巻く人たちにも旨味を残しておくのも解らないでもない。でも、それでも作者の死後50年とか70年って長すぎだと思う。


個人的には、作者が死ぬまで、もしくは著作物を発表後50年のどちらか長い方を著作権の保護期間にするっていうのがいいんじゃないかと常々思っているのだけど、どうだろう。
作者が存命中の著作権は保護されるし、仮に作者が夭折しても発表後50年は保護されている訳だから急に権利が切れて遺族が路頭に迷ったり出版社なりが著作権を早く切れさせる為に作者を事故に見せかけて暗殺なんてこともなくなるし(笑)。しかもこの方式なら、晩年に著作物を作った場合若い頃の作品と保護期間の切れるタイミングが変わる訳で、何となくお得っぽくて年老いてからの創作意欲の向上に一役買いそうだし。


そもそも作者の死後ん10年も金銭的価値を持つ著作物なんて殆どないし、死後ん10年も金銭的価値を保っているようなものならそれまでで十分遺族とか潤っているだろうし、そして保護期間が切れてもいくらでも稼ぎようがあるだろと思う。著作物自体も保護期間が切れたからってその価値まで消える訳じゃない。現に明治期とかのとうに著作権が切れてる作家の小説が普通に本屋さんに並んでいる訳で。遺族だってそうした著作者の子や孫だっていうのは、それだけでもの凄い財産だしね。


でも、残念ながら殆どの著作物はどんどん産まれてくる新たな著作物に埋もれてしまう運命にある訳だ。そうした著作物は当然金銭的価値が著しく減じたが為に埋もれてしまったわけだけど、そうした著作物だって金銭的な価値を抜きにすれば、再び日の目を浴びる事もあるかもしれないんだよね。特に最近はインターネットのお陰で多くの人の目に触れさせる事が容易になったわけでさ。商売としては成り立ちそうにないけど、金銭的なものを抜きにすれば日の目を浴びる著作物も現れると思うんだ。特にそうした埋もれていった著作物ってその当時の情勢や風俗を知るにはいい資料だし。そうした埋もれた著作物を発掘するのにコストがかかると、結局対費用効果が薄すぎるので誰も発掘しようとしなくなるんだよね。それが著作権保護の弊害な訳だ。で、発掘にコストがかからなければ趣味やボランティアで発掘をしようって人も現れて結果的に著作物が多くの人の目に触れる機会を増やす役割を担う事なって読者が増えれば創作者としては嬉しい事なんじゃないかと。


まあ、なんつーか長々とぐだぐだな文章を書いちゃった訳だけど、著作権保護延長派の方々の著作物なんて、個人的にはどうでもいいんだよね。これはそういう方々の著作物がくだらないとかそういうことではなくむしろ逆で、延長して得する人たちの持つ著作物ってのは結局ほっといても残る訳よ、なんだかんだいって素晴らしいものだから。でも、殆どの著作物はほって置いたら消えてしまうわけで、「そもそも消えてしまうような著作物はその程度のものだ」という考え方も出来るけど、それでも一度生を受けた著作物が忘れ去られて消えるっていうのは悲しい事だと思う。そうした著作物を少しでも後世に、一部の好事家の目に止まるだけでもいいから残っていける可能性を上げる為に、著作権の保護期間はもう少し短い方がいいっていうのが自分の気持ち。