佐天さんとお守り とある科学の超電磁砲9話を観ての雑感

とある科学の超電磁砲、面白いですねー。

自分と同年代の女の子である美琴や黒子が自分と別の世界で生きていることを実感してしまう佐天さん。これが美琴たちが嫌な人物だったり接点がまるでなければそれほどどうってこともないのだろうけど、なまじ友達で彼女たちに好感を持っているだけに、この実感はどうしようもない劣等感として佐天さんを襲ってしまう。

そんな中、見つけてしまった幻想御手(レベルアッパー)の誘惑、抗えなくても誰が彼女を責められようか、という感じです、うん。

しかも佐天さんは幻想御手を見つけたことにかすかな優越感を覚えていたと思うんですよ。都市伝説として流布されているものの、実在するかどうか怪しい。仮に実在したとしても裏で高値で取引されている代物、そんなものを見つけてしまったのだから、たぶん黒子たちジャッジメントが幻想御手使用者を保護しようと言う流れになっていなければ、佐天さんも幻想御手を見つけたという優越感で満足して終わりだったかもしれなかった訳で。

その僅かな優越感があっさり否定されて、レベル5の美琴には能力なんてどうでもいいことと言われ*1、黒子にはその圧倒的な戦闘力を見せつけられ、不良に対し注意することしかできなかった自分の無力さを浮き彫りにされる。
そんな中、佐天さんは友達に会って、話の流れからつい幻想御手の存在を友達にも教え、引き返せないところへ行っちゃう訳ですが、そりゃあ、そうもしてしまうわなあという感じです。

自分が佐天さんの立場でも、幻想御手を使わないでいる自信はないしなあ。劇中の佐天さんが知り得た情報だと、副作用といってもよく分かってないし、多少ずるかもしれないけど麻薬のような法的に問題のあるものでもないみたいだし(というか学園都市の法ってどうなってんだろ。たぶん一種の治外法権になっているとは思うが)。


で、そんな感じの9話なんですが、一個気になったというか興味深いなあと思ったのが、お守りのことだったり。

美琴の前で佐天さんがお守りを落とし、それが切っ掛けでそのお守りが佐天さんのお母さんが、身を案じてくれたものであること、そしてお母さんの優しさと同時にプレッシャーを感じてしまうアイテムであることが明らかにされました。
そして佐天さんは、お守りなんて非科学的なもので気休めのようなものだと言います。まあ、そのことは一般的な認識としては間違っていないのだけど、このアニメが『とある魔術の禁書目録』の外伝であることを念頭に浮かべると、少し意味合いが違ってくるような気がします。

つまり、この『とある〜』世界においては非科学的、オカルト的な存在である魔術というものは確かに存在している、にも関わらずこの世界に住んでいる殆どの人たちはその存在を知らないし信じていないということ、それを佐天涙子という科学側の極めて一般人に近い人物を使って表現したんじゃないかなあと言うことです。
もしかしたらそのお守りにも魔術的な効果が付与されているのかもしれないけど、そうであってもそのことに気づくことはない。そういう風に考えると、『とある魔術の禁書目録』の世界を科学側から補強する正しい「外伝」としてこの『とある科学の超電磁砲』がありより面白く感じてきます。まあ、妄想もたぶんに入ってますが。

まあ何にせよ、『とある科学の超電磁砲』は禁書外伝としても一個の作品としても面白いなあ、と言うことです。

*1:美琴に悪意はなかったと思うし、佐天さんのような人の気持ちをわかれというのも中学生にはちょっと酷かもしれない