俺の妹がこんなに可愛いわけがない5巻の感想

というわけで『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』5巻読み終わりました。
前巻ラストで桐乃がまさかの海外留学と黒猫の後輩化という衝撃展開を迎えて、今巻では桐乃不在のまま黒猫とのエピソードが綴られてます。
高校に入学しても友達が出来ず孤立する黒猫、そんな彼女に京介は自己満足のお節介と自覚しつつも世話を焼き、何とか友達が出来るよう奮闘する。もちろんそれは善意からであったけれども、その行為はいなくなった妹の代わりに世話を焼く相手として黒猫をみていたということでもあり、それを彼女から指摘されてしまうという地味に心にくる展開あり。もっとも京介は速攻で反省したし黒猫だってそこまで京介が自覚的にそういう風に見ていたわけではないことは分かっているのできつい展開ではなかったのだけど。
それに、黒猫自身も桐乃の代わりを京介に求めていたよなあ、たぶん。四月になって京介の部屋に入り浸る様になったのも桐乃との繋がりを持っていたかったからだろうし。いくら仲が良くても高一にもなって付き合っている訳でもない男子の部屋に二人きりになるっていうのは難しい。まあ幼なじみとかは別として。黒猫は京介に好意は間違いなく持っているとは思うけど、それだけで男子の部屋にはちょっと行くには心理的な壁は大きいかと。友達の絆って特に中高生の年代で友達付き合いが下手な人間なら、ちょっとしたことで簡単に壊れてしまうのではないかと不安になる事も大いにあるのではないか、けれど兄妹の腐れ縁ってのは、血縁やら民法やらでがちがちで、ちょっとやそっとでは壊れない。黒猫もそこにすがってしまったのではないかなあと。特に桐乃は連絡よこさないしね。
ま、実際の所分かんないけど、そういう風に黒猫や桐乃、その他の人物の気持ちの本当の所は各々が想像するしかないってのがこの小説の面白さというか魅力の一つではあるなあと思った。京介自身は妹含めて殆どの登場人物から特に好かれているとは思ってないけど、読んでるこっちからすると妹の桐乃は一応除いたとしても、フラグが至るところで立ってる様にしか思えないし。けど、実際の所は京介なんてみんな異性としては見ていない可能性だって十分あるわけで。黒猫のあの行動だってそういう行為をすることに酔っていただけかもしれないしね。逆に桐乃の本心は恋する妹はせつなくてお兄ちゃんのことを想うと(以下自主規制)かもしれないという妄想する余地だって読者には残されているわけで、俺はそうまでは思わないけど。何にせよそういう風に京介のことを周りがどう思っているかを想像するのは非常に楽しいのですよ。
さて、その桐乃ですが前巻であんな引きをしたにも関わらずあっさりと(といっても本人的に葛藤はあったけど)帰って来てちょっとびっくり。てっきり5巻の出番はないかと思っていたよ。誰かに勝つまでは友達に連絡しないという自分への枷を予め黒猫やあやせに言っておいたなら、こういう事態にはならずもう少し向こうで頑張れたかもしれないけれど、そこまで器用に出来なかったんだろうな桐乃は。完璧にみえて融通が利かないし、そういうことを言ってしまったら駄目だと思っていたのだろう。で、自分に架した枷を外すくらいのいい加減さというか心の余裕があってももう少し頑張れたかもしれない。けれどもその程度の覚悟では世界とは戦えないと思ってしまい、余計に自分を追いつめてしまいどうにもならなくなってしまったと。まあこれで一度帰ってしまうのは仕方ないというかそれを何で責められようかとう感じだ、うん。ここで負けたまま終わらせる訳でもないしね。
また、5巻では他にも新キャラ続々登場で読みどころが多かった。特に赤城妹こと瀬菜は、普段は完璧主義の委員長だが自分の好きな事になると抑えきれなくなってしまうというその暴走振りが可愛く面白かった。いや、マジで。後赤城兄のシスコンっぷりも。正直、赤城兄主役のスピンオフ「俺の妹はこんなに可愛い」が読みたいくらいだ。
というわけで『俺妹』大変面白かったです。唯一の不満点はといえば、俺のあやせの出番が電話越しに少しだけだったことか(笑)。


しかし、毎度思うことだけど感想書くのって難しいなあ……。