今月の人間失格 壊も凄かった

いやほんと、何でここまで痛々しい漫画が描けるんだよってくらいこちらの心を抉ってきます。人間ってものに対する根源的な懐疑と恐怖が漫画全体から溢れ出していて凄まじい。
葉蔵は信頼の天才である天真爛漫なヨシ子と付き合い、人間というものを信じられそうな救いを感じられていた。けれども夏祭りの日に葉蔵が見てしまったヨシ子の姿は動物であった。父親に無理矢理売春させられていたのだが、その描写が見るもおぞましく描かれていて凄いのだ。情念を叩き込んだ純粋に不快感しか抱かせないエロ場面って、何だかんでいって一般の漫画誌だとそれほど見かけない(様な気がする)のだけど、この漫画は人間失格を題材にしているだけあってその辺りが容赦ない。全くエロでも嬉しくないばかりか精神的ダメージがきついのだ。ついでにいうと『魔女の騎士』のエロ場面は結構好きだったので作者の技量が低い訳でもない。その後、ヨシ子は葉蔵を裏切ったことを苦に思い睡眠薬を飲んで自殺を図るのだがその顛末も残酷だ。葉蔵も後追いで睡眠薬を飲むもの一命を取り留め、葉蔵が睡眠薬を飲まず誰か助けを呼んでいればヨシ子が助かったことを竹一に指摘され、絶望の表情を浮かべる。んで、それがラストのコマなのだがその絵がまた凄いのだ。絶望というものはこう表現されるのだと唸らされるくらいに。
という感じで、少年期が終わった『人間失格 壊』。今後の展開がマジ楽しみです。大分前に読んだだけの原案ももう一度読もうかしらん。
しかしまあ、この『人間失格 壊』の次に載ってるのが『ヨメイロちょいす』って辺りがチャンピオンREDという雑誌の業の深さを思い知らされる。人間失格で心を抉り取られた後に「ゼンギなき闘いが今…!!」だよ(笑)。今月のヨメイロは、リアルの動きがきな臭いから大人しめかなあと思いながら読んでいたら後半はそんなことなかったぜ!てな感じだった。セルリァがかわいかったとか迂闊に書いたら今のご時世別の意味で人間失格の烙印押されそうで怖いな。