境界線上のリンボ1

境界線上のリンボ (1) (まんがタイムKRコミックス)

境界線上のリンボ (1) (まんがタイムKRコミックス)

全く予備知識なしに表紙だけ見て買った一冊だったのだけど、これが面白くて当たりだった。
物語の舞台はタイトルにある異世界との境界線上にある不思議な街「リンボ」。人間とエルフの混血の少女、フゥはその出自から人間ともエルフとも耳の形が違いどちらの世界にも居場所がなく、逃げるようにして「リンボ」にたどり着いた。この「リンボ」は、異世界との境界線上にあるが故に人間もそれ以外も区別なく生活を営む街で、フゥはそこに居場所を見つける。この漫画はそんなフゥの「リンボ」での生活が面白おかしく、そして温かく描かれた四コマなのだ。
健気なフゥや、ちょっといい加減ででも心優しい魔法道具屋の主人でフゥの保護者となる先生、食堂の看板娘で気さくな姉御のネーナに発生機能が付いていないのでラジオがないと喋れない自律機械のアポジーと個性的な面々が出てくるのが特徴で、基本的に登場人物はみないい人ばかりだ。ある意味優しすぎるくらい優しいような感じもあるけれど、それはこの「リンボ」に住む人々が、人間や異世界人のあぶれ者たちが集まっているために、差別されたり苛められたりする辛さを誰よりも知っているからだろう。だから、この漫画に出てくる人々が優しいのは当然なのだ。
そして、フゥやネーナ、そして妖精のアヴリルに先生の師匠と、女の子が魅力的なのもポイント高し。フゥの健気な一生懸命さには妙に癒される。ほんのり笑えて心温まるこのファンタジー四コマ、かなりお薦め。